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宇都宮の昼と、大宮の夜

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 自愛しますと 言った先から 夜の街
                       高田崇史酔白

 そういうわけで、大学時代の悪友W辺氏から連絡があり、出かけてしまった。
 
 まず何はともあれ、写真左側の、下野国一の宮「宇都宮二荒山(ふたあらやま)神社」に参拝。
 この神社の祭神は、崇神天皇第一皇子・豊城入彦(とよきいりひこ)命。弟の活目(いくめ)命──後の垂仁天皇──が皇太子となったため、東国に下向したという。
 実はこの二荒神社には下之宮があり、今はPARCOの裏手に、ひっそりと建っている。
 ところがこの社も、しっかりと四方を囲まれているのである。何かいわれがありそうな気がする。「日光二荒山神社」との関わりも少し気になるところだ。
 ちなみに──現在は、すっかり餃子で有名になっているが──「宇都宮」という地名は「一の宮」が訛ったものだとも、この「下之宮」遷宮に伴って「遷(うつ)しの宮」からきている名前だともいわれている。

 さて、駅前できちんとお土産の餃子を買って、大宮に移動。
 この「大宮」の地名の由来は、もちろん「大きな宮」──武蔵国一の宮の「氷川神社」「氷川女體神社」からきている。
 実は「埼玉」という名前にも、なかなか面白く興味深い歴史があるのだが、今回はちょっと割愛。

 W辺氏と駅で待ち合わせて、「いなみ」という和食の店に。
 彼の大推薦のお店ということで、以前から1度行くと約束していたのである。板前さんが、道場六三郎さんのもとで修行していたということで、店頭や店内に道場さんの色紙がたくさん飾られていた。
 料理も、もちろん文句なく美味しかったのだけれど、こちらの支配人の肩書きが、何と「利酒師(ききざけし)」(!)。素敵すぎる。

 そこでさっそく、福井県の加藤吉平商店「梵(ぼん)」を中心に、日本酒を頼んだ。
 写真右は「梵」3種類。
 右の「夢は正夢」はイチロー選手お気に入りの酒だそうである。
 中央の「団」は山田錦の精米20パーセントの大吟醸。ちなみに、吟醸で精米60パーセント以下、大吟醸で50パーセント以下であるから、超贅沢品。
 左は「超吟」で5年熟成、皇室献上品。皇太子のお好きな銘柄だそうだ。
 そしてこの「超吟」という名前は、石川の酒、菊姫の代表銘柄「吟」を超えた! ということで名付けられたという。それならば菊姫「吟」も飲んでみなくてはならないだろうと、注文する。
 いやいや、実に日本酒も奥が深い、などと言いながら大宮の夜は深く濃く更けていったのであった。