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ホームズといえば、こんなこともあったなあ

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 我が国でホームズといえば、やはり日本のシャーロキアンの草分け、長沼弘毅さん。
 これは昭和47年(1972)に上梓された長沼さんの初版本で、当時中学生だった私がお小遣いをはたいて、神田三省堂書店で購入した物。
 そして、その内容に驚き、かつ感動した余り、大胆にも長沼さんに直接手紙を書いてしまった。
 当時の長沼さんは、大蔵次官退官後、その時日本でただ1人の「ベイカー・ストリート・イレギュラース」会員だったが、全く恐れを知らなかった(経歴の重さを知らなかった)私は、平気で手紙を送ったのだった。
(ちなみにちょうどその頃、同窓生だった森英俊氏は、アガサ・クリスティ女史に手紙を書いていたらしい。一体どういう中学校だ?)
 しばらくして長沼さんからお返事をいただいたのだが、達筆すぎて殆ど読めず、また我が家の引っ越しなどもあり、やがてどこかに紛失してしまった。

 そんな話を前述の田中喜芳さんに伝えたら、二重に驚いてひっくり返られてしまった。
第1に、長沼さんは当時そういった手紙には、一切返事を書かなかったはず!
第2に、どうしてそんな貴重な手紙を紛失してしまったんですかっ!
──ということだった。
 何を書いてお送りしたのか、もちろん忘れてはいないし、お返事も読めた部分だけはきちんと覚えている。
 若かりし頃の秘密の思い出である。