昨日は、なぜか亀戸天神の氏子になっている悪友のH野と共に青山学院へ。
彼の娘さんが吹奏楽部に所属しており、定期演奏会が開かれるということで聴きに行ったのである。
会場では、ホルストから、葉加瀬太郎から、ディズニーから、ビートルズまで多彩な曲に耳を傾けた。
すると場内で、何となく見たような顔の男性に出会った。必死に記憶をたどり、頭の中で修正(?)すると、間違いなく小・中学の同級生のY田くんであった。思いもかけず、35年ぶりの再会となった。聞けば、彼の娘さんも青学の吹奏楽部だという。その邂逅に驚いてしまう。
ちなみにこの彼こそ、麹町中学時代に、ぼくにミステリを勧めてくれた張本人(?)だったのである。
彼は当時毎日のように、
「フィルポッツが面白いから読め」「ルルーのこれは傑作だ」「フレドリック・ブラウンは『真っ白な嘘』もいいけれど、『復讐の女神』もいい」
などといって、次から次へとミステリを持ってきた。そしてほぼ毎日、クイーンだ、ポワロだ、ファイロ・ヴァンスだ、H・M卿だ、思考機械だ、アイリッシュだ、殺人者はへまをするんだ、というような話を交わしていた。
そんな彼からの影響もあって、当時はミステリだけで年間に100冊は読んでいただろう。そしてもちろん(多感な年頃だったので)それ以外にも、色々な小説を読んだ。
演奏会が終わって、青山通りを歩きながら話していると、Y田くんは長沼弘毅さんの件(ぼくが手紙を書き、長沼さんから返事をもらった件)も覚えていて、驚いて一緒に読んだねえ、などと言う。
しかしその返事の手紙は、もう無くしてしまったということを言ったら、やはり田中喜芳さん同様、非常に残念がられてしまった。
その後は、青山でお茶(もちろんぼくとH野は、生ビール)をしながら、よもやま話など。Y田くんとは、また再会を約束して別れ、我々は青山の夜に突入したのであった(結局それか)。